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Fine主催イベント報告レポート

Fine祭り2023 ひとりじゃないよ!妊活

「周りに子どもがいる女性ばかりで、不妊治療をしていることを心からお話しできる人が誰もおらず、おしゃべり会で初めて口にした時、涙があふれてしまいました」

(参加者の感想)

<プログラム>
・Fine挨拶/活動紹介/スペシャリスト紹介
・体験談発表会(2名)
・おしゃべり会・不妊スペシャリスト相談 (同時進行)

「体験談発表」では、妊活・不妊当事者の2名がそれぞれの体験談を発表。リアルな妊活の悩みや不安、不妊治療と仕事の両立の悩みなど、生の声を当事者だけでなく妊活・不妊に関心のある全ての方に向けてお届けしました。
「おしゃべり会」では、同じ悩みを持つ当事者同士の仲間づくり、交流、情報交換を目的とし、当事者の孤立感や悩みを少しでも払拭するため、当事者同士が気がねなく語り合える機会を提供しました。
「不妊スペシャリスト相談」では、不妊症看護認定看護師さんと認定臨床エンブリオロジスト(胚培養士)さんに、不妊治療などに関する悩みや日ごろ抱えている疑問が質問できる個別相談(無料)を行ないました。

開催日:2023年11月12日(日) 13時00分〜15時50分 
開催場所:Zoomによるオンライン
参加費:Fine正会員・賛助会員・PASサポーター・

Fine祭り協賛:無料(2名まで)
Fine エール会員・一般:1名1,000円

(2名でお申し込みの場合は2名で1,000円)

 

担当者の感想

Fine主催の妊活イベント「Fine祭り2023 ひとりじゃないよ!妊活」を11月12日(日)に開催しました。Fineが2008年から毎年開催している一大イベントです。4年連続オンラインで開催し、今年も全国各地から多くの方にご参加いただきました。

今回は、新しく名誉会員にご就任いただいた元NHKアナウンサー・タレントの登坂淳一さんをお迎えし、「Fine祭り2023」を開会しました。最初に、登坂淳一さんからご挨拶をいただき、その後、Fineの紹介を行ないました。スライドでFineのこれまでの歩みと活動を振り返りました。当事者の声が国政へ届き、不妊治療が保険適用となったという大きな流れは、不妊当事者を取り巻く環境が少しずつ良い方向へ変化しているということを表しているとあらためて実感しました。
 
その後、Fineスタッフ2名による「体験談発表」を行ないました。
1人目は「42歳で結婚からの不妊治療」と題して、会社を起業し経営者としてやりがいを感じながら仕事に邁進する中、42歳で結婚し50歳まで不妊治療と向き合ったお話でした。ご自身が不妊治療中なのにもかかわらず、女性が輝ける社会を目指す経営者として、スタッフの妊娠・出産、育児休暇に凛として対応されたご経験があったそうで、その時の気持ちの葛藤を想像すると並大抵の苦しさではなかっただろうと感じました。「心に蓋をしないと保てないところまできていた」という言葉がとても印象的で、繰り返す妊娠判定の陰性や流産の中、やっと授かった命を失うつらさには、たくさんの方が共感されたのではないかと思います。そして治療終結、不妊ピア・カウンセラー養成講座との出会いから、気持ちを素直に話せる自分に変わっていったことで、その心が伝わったかのように、ご主人と子どもたちとの間に今まであったわだかまりが解け、周囲の心までをも解かしていったというお話しには、これまでの努力がまるで別の形の幸せや喜びとなって返ってきたかのように感じられました。望みは叶わなかったとしても希望の光がある、というようなとてもあたたかいものが胸に残るメッセージだったと思いました。

2人目は「悲しみ続けた10年間と当事者サポートへの道」と題して、記者として仕事と不妊治療の両立を模索する中、13回の採卵、3回の流産手術、そしてやっと宿った命が子宮内外同時妊娠、さらに卵管摘出手術という大変につらい不妊治療と向き合ってきた怒涛の10年間のお話でした。自分の努力ではどうしようもできないもどかしさや怒りの中の治療で、治療中にご主人との言い争いがきっかけで、畑でうずくまり泣き叫ぶ自分は頭がおかしくなったのではないかと思った、という胸が張り裂けそうなエピソードがありました。一方で、記者として不妊治療の実態を知ってもらおうと番組で紹介し、当事者を社会から孤立させてはいけないという思いを強くされたとのことでした。そしてこれで治療をやめようと決めた最後の体外受精で妊娠し、無事に出産を迎えられたというお話は奇跡のように感じたそうです。こうした経験や想いから、当事者に「ひとりじゃないよ」と手を差し伸べたいと不妊ピア・カウンセラーを目指されたとのことでした。不妊ピア・カウンセラー養成講座で不妊症患者の心理を学ばれ、不妊とはこれほど耐え難く、人の心を傷つけるものだと知ったからこそ、「あなたがおかしいわけではないよ、あなたの気持ちがわかるよ」と伝えたい、というメッセージは、今不妊で悩んでいる方々への、とても大きな心の支えになったのではないでしょうか。

休憩をはさみ、次は「おしゃべり会」を行ないました。「体外受精・顕微授精」「40歳以上」「20代30代」「不育症」「妊活のやめどきを悩み中」などのグループに分かれ、それぞれ当事者同士でおしゃべりをしました。各グループとも体験談発表を聞いて気持ちがあたたまった後の良い雰囲気の中で開始された様子で、参加された皆さんはそれぞれ思い思いのお話を積極的にされていらっしゃるようでした。また、「年齢や状況が違っても、治療が上手くいかないというつらさをみんなで共有できてよかった」というご感想もいただき、参加してみてよかったと少しでも思っていただけたならとてもうれしく思います。
また、おしゃべり会と並行して、不妊症看護認定看護師さんと認定臨床エンブリオロジスト(胚培養士)さんの「不妊スペシャリスト相談」 も行ないました。個別に専門家に相談できる貴重な機会とあって、毎回キャンセル待ちが出るほど人気があるプログラムです。普段なかなか聞けなかったことを質問したり、専門家から的確な情報を得たりすることで、これからの治療の助けとなれば大変うれしく思います。専門家側からも、普段こうして患者さんと直接お話できる機会が少ないとのことで、こういう場は貴重だというご感想をいただきました。医療従事者と患者との橋渡しの場となれたようでしたら、大変うれしく思います。途中、不妊スペシャリスト相談の予約時間がきて席を外された方がまたおしゃべり会に戻って来られたときは、最初よりも安心されたような雰囲気で、「話を真摯に聴いてもらってとてもよかったです」とお顔に笑みが戻られていた様子に、スタッフもともにほっとして笑顔になりました。

最後になりましたが、Fine祭りにご協賛いただきましたクリニック、企業、団体の方々、不妊スペシャリスト相談を担当していただいた不妊症看護認定看護師さん、認定臨床エンブリオロジストさん、そしてご参加いただいた多くの皆さんに、スタッフ一同、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
(担当:ほま/Fineスタッフ)

体験談発表者からのメッセージ

発表するにあたり、過去8年の経験を振り返り整理できた貴重な時間となりました。また、治療当時は誰にも話せなかった、葛藤や気持ちを大勢の方に聞いていただけたことで私自身が癒やされました。仕事や他人を優先して自分の気持ちを置いてきぼりにしながら治療している方に届いたならうれしいです。「ひとりじゃないよ」、そっとそう声をかけたいです。大変貴重な機会をありがとうございました。
(みーこ/Fineスタッフ)

体験発表は、不妊で悩んでいた頃のできごとや気持ちをゆっくりひも解く良い機会となりました。そこで気づくことがたくさんありました。もがき苦しんでいた自分を正直にさらけ出すことは恥ずかしさもありましたが、聞いてくださる方が、ほんの少しでも何かヒントのようなものを受け取ってくださったらいいな、と思いお話しさせていただきました。皆さんの感想を読み、やってよかったと心から思っています。貴重な機会をありがとうございました。
(金澤 佳美/Fineスタッフ)

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